帰納法で説得力に欠けるケース
「帰納法は、「結論」をいえる「材料」を集める」を読めば、帰納法を使いこなせるようになると思います。
ただ、帰納法を使って文章を書いても、説得力に欠けることがあります。下手をすると、ロジックが破綻して、説得力がなくなることさえもあります。
なぜ、説得力がなくなったり、ロジックが破綻したりしてしまうのでしょうか。
ここでは、帰納法を使ったとき、失敗する原因をあげていきます。
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早すぎる一般化
例文は、帰納法で論理展開しています。まずは例文を読んでみてください。
(例)
Aさんは、私のことが好きだ。
Bさんも、私のことが好きだ。
だから、日本女性の全てが私のことが好きだ。
例題に私の妄想が入っていますが(笑)、それはさて置き、この例題は説得力がありませんよね。
なぜ、なのでしょうか。
答えはわかると思いますが、詳細に分析してみます。
まずは帰納法の図を書いてみましょう(参考:帰納法は、「結論」をいえる「材料」を集める)。
図を見ると、いずれの「材料」も、「結論」を向いていることがわかります。
だから、材料1、材料2ともに、材料としてはいいのですが・・・なぜ、これだと説得力に欠けるのだと思いますか
そうですね。
材料の「数」が少ないためです。
このように材料の数が少なくて、説得力がかけるケースがあります。
逆をいえば、帰納法で説得力がある文章にするには、材料の数を増加させればいいということです。
単純に数を増やしても意味がない
以下の例題は2つとも、帰納法で論理展開した文章です。例1、例2のどちらが説得力がありますか。
(例1)
・たばこを吸うと、ガンになるリスクがあがる。:材料1
・たばこを吸うと、動脈硬化が進行するリスクがある。:材料2
・たばこを吸うと、呼吸器系の疾患が生じるリスクがある。:材料3
・たばこを吸うと、歯周病になるリスクがある。:材料4
・だから、たばこを吸うのはやめた方がいい:結論
(例2)
・たばこを吸うと、ガンになったり、動脈硬化が進行したりして、命に関わるレベルで、健康を損なうリスクがある。:材料1
・たばこの値段は右肩上がりで上昇している。今後、益々、経済的な負担が大きくなる。:材料2
・禁煙の圧力が強く、たばこを吸う場所でさえ確保するのも難しくなる。:材料3
・だから、たばこを吸うのはやめた方がいい:結論
例2ですよね。
例1の方が材料の数は多いものの、イマイチ、説得力に欠けます。
先ほど、帰納法で説得力を増すには、材料の数を増やせばいいと書きました。なのに、なぜ、材料が多い例1の方が説得力が欠けるのでしょうか。
答えは簡単。
ダブりです。
例題1の材料はすべて、「健康を損なう」ということです。
ダブっているので、説得力に欠けているのです。
その対策は、MECEを使うといいでしょう。MECEでダブりをなくすことができます。
※)詳しくは、MECEのページで解説します。
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材料が結論を指し示さない
子供の駄々を思い出してください。
・A君もゲーム持っている:事例1
・B君もクリスマスのプレゼントでゲームを買ってもらった:事例2
・Cちゃんも昔からゲーム持っている:事例3
・だからゲーム買って:結論
それぞれの材料が指し示す先に、結論がありません。
だから、論理が破綻しているのですね。
このように、帰納法で説得力を持たせるには、それぞれの材料が結論を向いている必要があります。