帰納法は、「結論」をいえる「材料」を集める

帰納法とは、どういうものなのかというと、「子供が駄々をこねる姿」を想像すればいいのでした(2つの論理展開〜演繹法と帰納法)。

「A君もゲーム持っているし、B君もクリスマスのプレゼントでゲームを買ってもらったし、Cちゃんも昔からゲーム持っているんだよ。だからゲーム買って!」
  ↓分析
・A君もゲーム持っている:事例1
・B君もクリスマスのプレゼントでゲームを買ってもらった:事例2
・Cちゃんも昔からゲーム持っている:事例3
→だからゲーム買って:結論
  ↓
帰納法とは、様々な事例を集めて、結論を導き出す方法。

ただ、これは帰納法の形になっていても、論理が破綻していて説得力がある文章とはいえません(子供の駄々ですからね)。
そこで、ここでは、どのようにすれば論理が破綻しないのか、すなわち、帰納法を使いこなす方法について解説します。

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「結論」をいえる「材料」を集めていけば、帰納法の論理展開になる

帰納法で論理展開をするには、「結論」をいえる「材料」を集めていくだけです。どういうことか、わからないと思うので、例題を見ていきましょう。

(例題)「Aさんは僕のことを好きに違いない」という結論をいえる材料を考えてみてください。
※)一例をあげると「飲み会のとき、ずっと僕を見てた」。

なんとなく哀愁が漂う例題ですが(笑)、簡単に材料を列挙できますよね。

・Aさんは飲み会のとき、ずっと僕を見ていた。
・Aさんは職場で、僕によく話しかけてくる。
・Aさんは僕にだけ優しい。

この材料を使うと、帰納法の論理展開ができます。
具体的には以下です。

(文章1)
Aさんは飲み会のとき、ずっと僕を見ていた。Aさんは職場で、僕によく話しかけてくる。Aさんは僕にだけ優しい。だから、Aさんは僕のことを好きに違いない。

帰納法の論理展開になりました。
しかし、これを読んだ人の多くは、「Aさんが好きというのは、キミの妄想じゃないの?」と思うのではないでしょうか。
すなわち、文章1は説得力がない文章といえます。

なぜ、説得力がないのか、明白ですよね。
結論をいうための材料が足りません。
だから、さらに、追加します。

・Aさんは、飲み会のとき、いつも僕の隣に座る。
・Aさんは、特段用事もないのに、僕に話しかけてくる。

これらを加えると、以下になります。

(文章2)
Aさんは飲み会のとき、ずっと僕を見ていた。Aさんは職場で、僕によく話しかけてくる。Aさんは僕にだけ優しい。 Aさんは、飲み会のとき、いつも僕の隣に座る。Aさんは、特段用事もないのに、僕に話しかけてくる。だから、Aさんは僕のことを好きに違いない。

ここまでくれば、「Aさんが好きなのかもね」となるのではないでしょうか。

このように、「結論」をいえる「材料」を集めていけば、帰納法の論理展開になります。ただ、サンプル数が少ないと、説得力が欠けるなどの欠点があります。
※)帰納法の欠点は、別のページで詳しく説明します。

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共通のベクトルがある材料を選べ!

帰納法を、もっと詳細に考えてみましょう。

たとえば、以下の「材料」があったとします。

A市場は急成長している

この材料から、どういう結論が言えそうですか。
たとえば「相関があるB市場も伸びるのではないか」「我が社もA市場に参入すべき」など、色々な結論がいえそうですね。
※)この2つの結論以外にも色々ありますが、ここでは割愛しています。



次は、以下の「材料」があったとします。

我が社はAも生産できる

この材料からは、たとえば「コスト効率のいいCを生産した方がいいのではないか」「我が社もA市場に参入すべき」など、色々な結論がいえそうですね。



このように、1つの材料からは、様々な結論がいえます。

さて、帰納法に話を戻します。
帰納法とは、「材料」を集めて、「結論」を導き出す方法です。
言い換えると、帰納法とは、同じ結論がいえる材料を集めることに他なりません。
どういうことなのか、わかりにくいと思うので、図にしてみました。



だから、図を帰納法で表すと、「A市場は急成長している。我が社はAも生産できる。だから、我が社もA市場に参入すべき」となります。
※)説得力にかけますが、説明の便宜上、材料の数を少なくしています。

なぜ、子供の駄々は説得力がないのか?

なぜ、子供の駄々は説得力がないのだと思いますか。
それを知るために、図を作ってみました。
図を見れば、一目瞭然ではないでしょうか。





だから、以下のようにすると、説得力がある文章になるのではないでしょうか。

「A君もゲーム持っているし、B君もクリスマスのプレゼントでゲームを買ってもらったし、Cちゃんも昔からゲーム持っているんだよ。だから、ゲームは人気がある」

ちなみに、「ゲームを買ってほしい」という結論を導くために、D君、E君・・・とゲームを持っていたり、買ってもらったりした話、すなわち「材料」を増しても、説得力はありませんよね。
でも、「ゲームは人気がある」という結論だと、材料を増加させればさせるほど、説得力が増します。
このように、帰納法だと、方向性が合致している材料を選ばないといけないのです。

説得することがすべて!?

世の中では、人を説得させるとき、真実かどうかは問題ではないことがあります(倫理的にどうかと思いますが、そういう事例は山ほどあります)。
厳密に考えれば、方向性が合致していない材料を捲くし立てて、説得力がでるようにすることもできます。

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