読者に与える印象を考えながら文章を書こう

人の感情を揺さぶる文章を書く方法を知る前に、知っておくべきことがあります。
それは、どのような物・事柄にも様々な側面があること、読み手の印象を操作するために情報の出し方を工夫して、文章を書く必要があるということの2つです。
どういうことでしょうか

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どの側面を見せるのかで、印象が異なる

以下のような特徴があるAさんが就職活動をしていたとします。

<良い点>
・勉強ができる
・仕事の意欲はある

<悪い点>
・運動ができない
・人付き合いが苦手

面接の前には書類審査があり、その書類には自己PRを書く必要がありました。
そのとき、Aさんが以下のように書いたとします。

(ア)「私は運動ができなくて、人付き合いが苦手です」

あなたが面接官ならば、「不可」にするのではないでしょうか。
では、以下だと、どうですか。

(イ)「私は勉強ができて、仕事の意欲があります」

あなたが面接官ならば、「合格」も視野に入れるのではないでしょうか。

さて、(ア)も(イ)も、同じAさんの特徴ですよね。
ウソはありません。
しかし、(ア)だと、Aさんの悪い側面しか見えません。



面接官はAさんのことが良く知らない上に、Aさんの悪い点ばかり読むことになるので、Aさんは「100パーセント、悪い人」になってしまいます。



この理屈が理解できない場合は、たとえば、電車で老人がいるのに、席を譲らないBさんがいたときのことを想像してみてください。
Bさんって、優しくない人だと思うのではないでしょうか。
しかし、本当は、Bさん、5年に一回の体調不良に見舞われていて、老人に席を譲れなかっただけで、優しい人だとすれば、どうでしょうか。
人は、たった、Bさんのたった1回の行動だけで、Bさんのすべてを想像してしまいます。

一方、(イ)だと、Bさんの「良い点」しか見えません。



だから、面接官は、Bさんは「100パーセント、良い人」と感じることでしょう。



このように、同じAさんでも、どの側面を見せるのかで、180度、印象が変わってしまいます。

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文章を書くときも、どの側面を出すのかを考える

どのような物・事柄にも、良い側面もあれば、悪い側面もあります。
だから、「読み手に、何をどう伝えたいのか」を考えて、様々な側面の中から、どれを伝えるのかを考えることが重要です。
抽象的な説明でわかりにくかったと思うので、具体的に例題を解いてみましょう。

<蒸気で汚れを落とす洗浄器A>
・油汚れが、みるみる落ちる
・殺菌ができる
・流行していて注文が殺到している
・扱いづらい
・こびりついた汚れは落ちにくい

(問1)読み手に「買いたい」と思わせるような文章を書いてください。
(問2)読み手に「買いたくない」と思わせるような文章を書いてください。
(問3)読み手に「あなたは信用できる人」だと思わせるような文章を書いてください。

※)注意
一面提示、両面提示などの話もありますが、読み手は「一面提示」されると買う気になって、「両面提示」する人は信用できる人だと考えるとしてください。要するに、難しく考えず、単純に考えてください。

単純に考えると以下なります。

(問1)洗浄器Aは、油汚れが、みるみる落ちて、殺菌ができます。流行していて注文が殺到しているので、ご注文はお早めに!

(問2)洗浄器Aは、扱いづらくて、こびりついた汚れは落ちにくいんですよね。

同じ商品でも、どの側面を見せるのかで、180度、読み手の印象を変えることができるわけですね。

面白いのが、問3です。
問3は、角度を変えてみれば(腹黒くいえば)、洗浄器Aを利用して、書き手の信用を得るというところでしょうか。
実際、以下のような文章だと、書き手のことを信用してしまいますよね。

(問3)洗浄器Aは、油汚れが、みるみる落ちて、殺菌ができますが、実は、扱いづらくて、こびりついた汚れは落ちにくいんです。流行していて注文が殺到していて、つい買いたくなってしまうかもしれませんが、購入の前に、冷静に考えてください。

このように文章を書くとき、読み手に何を伝えたいのか、どういう印象を残したいのか考えるようにしましょう。

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