消費者は総額、販売者は分割

人は「今、目の前」にあることしか見えません。このように、人は「将来」のことをぼんやりとしか見えず、「今」しか見ないことを近視眼性といいます。だから、「総額(例:100万円の支払)」よりも、「割賦(例:月々1万円の支払)」にすれば売れやすくなるのでした。
これを応用した広告の文言を、よく見かけます。
たとえば、以下。

(A)毎日、缶ジュースを買うのと同じ料金で、甲というサービスを利用できます。
(B)家賃を支払うのと同じ負担で、夢のマイホームを購入できます。

どういう理屈なのでしょうか。

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広告の文言の真意

さきほどの広告の真意は次ではないでしょうか。

(A)年額3万6千円の甲というサービス3万6千円といえば、高く感じる
→そこで、近視眼性を利用。低い価格にみせかけるためにサービスの料金(総額)を「一日あたり」に換算。一日あたり100円とする。
→さらに「大した金額じゃない」と思わせるために、「Aと同じ」の表現を使う(Aの部分には、負担と感じにくいものを入れます)。
→毎日、缶ジュースを買うのと同じ

(B)三千万円のマイホーム三千万円といえば、高く感じる
→そこで、近視眼性を利用。低い値段にみせかけるために三千万円(総額)を「月額」にする。
→それでも高くなるので、できるだけ低い金額にみせかけるために、ボーナス払い、ローンの期間を最長、金利を最低にして、月額「8万円」にする。しかも、修繕積立金、管理費は計算に入れない。
→さらに「大した金額じゃない」と思わせるために、「Aと同じ」の表現を使う(Aの部分には、負担と感じにくいものを入れます)。
→家賃を支払うのと同じ

(A)も(B)も、近視眼性を利用している上に、「だまし」が入っていますよね。
だから、これに騙されて、サービスを利用したり商品を購入した人は、後になって、後悔するんですね。
実際、チラシでよく見かける「家賃と同じ金額で、マイホームを購入できる」のような文言に騙されて、近年、住宅ローンで破綻する人が増えてきているそうです。

※)参考:なぜ、住宅ローンで破綻するのか?
その理由は、たとえば、以下。

1.実際には家賃と同じではないため
・ボーナス払いにしたり、ローンの期間を最長にしたりして、月額負担をできるだけ低く見せかけている
・月額の負担を計算するにあたり、変動金利の低い金利で計算している
・月額の負担を計算するにあたり、管理費、修繕費、固定資産税を考慮していない
・長く住むと、突発的に修繕費がかかることがありますが、そのリスクを加味していない

2.給与削減、ボーナスカット、リストラなどを加味していないため

というわけで、商売している人は、総額表示ではなくて「分割」にすれば、商品は売れやすくなりますし、消費者は、分割されていれば安く感じてしまうので、「総額表示」になおして、というのが大切です。

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